生田絵梨花が松本清張『天城越え』で見せた俳優としての覚悟「遊女ハナの運命が変わる場面は『すっぴん』で演じたかった」
俳優

乃木坂46卒業後、ソロの音楽活動、ミュージカルや番組MC、そして俳優とマルチに活躍する生田絵梨花が、特集ドラマ「天城越え」(NHK BS)で遊女・ハナという難役に挑んだ。
松本清張の小説『天城越え』は名作として知られ、これまで何度もドラマや映画になってきた。物語の舞台は昭和31年、小さな印刷会社を営む望月次郎(萩原聖人)は、定年間近の田島刑事(岸谷五朗)から過去の捜査資料の印刷を頼まれる。その中のある事件には、31年前に伊豆の修善寺の遊女・大塚ハナ(生田絵梨花)と14歳の少年が関わっていた。その少年にとってハナは天城峠で出会った初恋の女性だったのだ。
NHK BSでの放送を前に、生田にインタビューを実施。時代劇初主演となる本作で、彼女はどのようにハナの人生に向き合ったのか。作品への理解と俳優としての覚悟について語ってくれた。

(C)NHK
――1978年に制作されたドラマをはじめ、いろんな人が演じてきた松本清張原作『天城越え』のハナ。生田さんが遊女役ということに意外性がありますが、原作小説を読んでどう思いましたか?
「松本清張作品はこの『天城越え』も他の小説も、推理小説でありつつ、人間の美しい部分と泥臭い部分が両方描かれているというのが、とても印象的でした。これまで映像化された作品は全て見ましたが、最初は『私にこの役が務まるのかな』という不安が大きかったです。ハナが生きてきた時代や境遇を、令和に生きる自分がどこまで想像して演じることができるのだろう...と。すごくスリリングな挑戦になるだろうなと感じました」

――当時の遊女をどうやって演じようと思いましたか?
「まず、その頃の資料を読みました。例えば、母親の役など、初めて挑戦する役柄では、事実を調べてみたり経験者に話を聞いたりします。すると、自分の視界が開ける感じがして...。その過程は必要不可欠だと思うので、すごく大事にしています。でも、遊女の場合、経験した人は周りにはいないわけで、難しかったですね。記録を読んで分かるのは、当時はそうやって生きるしかない女性が多かった。その境遇を知ると胸が苦しくなりますが、ハナだけが特別に悲惨な運命というわけではなかったのだろうなとも感じました」
――ハナは修善寺の遊郭を出て天城峠を歩いているときに、下田方面から家出してきた少年・次郎に出会います。この出会いにはどんな意味があったのでしょうか?
「ハナは、過酷な時代に生まれ、苦しい選択をし続けてきた女性です。けれども、そんな人生の中で、次郎と出会った数時間だけは『ありたい自分』でいられた。次郎のようなピュアな存在と触れ合うことで、自分の中の純粋な部分が引き出される。その気持ちは私自身もとても共感できました」

(C)NHK
放送情報
特集ドラマ「天城越え」
放送日時: 2025年6月14日(土)21:00~
チャンネル: NHK BS
詳しくは
こちら